貞治年間建立の仁王門を入って石段を登ると、 正面には宝暦年間に建立された十間四面の本堂があり、 堂の内外にはたくさんの絵馬が掛られています。
また堂内の天井一面に描かれている墨絵の竜は、 日光の泣き竜とともに名高いものです。
金乗院の本尊である千手観音は行基菩薩の作といわれているが、 この本尊は秘仏であることから他見を許されず、 代わりに市の有形文化財に指定されている裏観音(木造千手観音)が常時開帳されています。
金乗院には、他にも六歌仙図大絵馬、煙草屋図大絵馬、算額、朝鮮式銅鐘など多くの文化財があります。
六歌仙図大絵馬は、江戸後期の絵師「石川文松」の代表作といわれ、 縦182cm、幅273cmの大きさで、 板の画材に銀箔を押した上に六歌仙が極彩色で描かれており、 歌道の上達を願う人によって奉納されたものと考えられます。
また、煙草屋図大絵馬は、縦90cm、幅150cmの大きさで、 胡粉(貝殻を焼いて作った白い粉)を塗った地に浮世絵風に所沢の煙草屋と思われる情景が写実的に描写されていて、 当時の様子を目の当りに見るようです。
作者は「観斎」と記されていますが、特定することはできません。
また、金乗院にある算額は、安永9年(1780)に奉納された県内最古のものであり、 全国でも8番目に古い貴重な文化財です。
算額とは、昔「算学」(算数)を習得し自分で考え出した問題や、 他から出題された問題を額として社寺に奉納し、 その回答を得ることを祈願したり、 問題とその解法または出題を入れて掲示するという習慣から、 各地の社寺へ奉納されました。
朝鮮式銅鐘は、高さ86cm、口径54.5cmの大きさがあり、 伝説には霊亀2年(716)に高麗国の王が武蔵国に移住の折、 自国より持参したといわれていますが、 形などからみて江戸中期に我が国で鋳造されたものと考えられています。
鐘の表面に仏像彫刻などの図があるのが朝鮮式鐘の特徴ですが、 特にこの鐘には他には見られない中国故事の許由巣父の図と郭巨金釜を得る図の二つの図柄があります。
山口観音1 | 山口観音2 |
資料提供:所沢市経済部商工課