ガシュッ
「ぐえぇぇぇ……」
花形クン、いい加減君も「学習」と言うことをしたらどうだい?毎回毎回吹っ
飛ばされて……。
(小樽様……)
チェリーは今、必死に『どうしたら小樽を自分に振り向かせることが出来るか』
を考えていた。
(小樽様はお優しいから、私達全員と同じように接して下さっている。でも、私
はやっぱり小樽様を私だけの小樽様にしたい……)
小樽は優しい青年だ。自分を慕ってくれる全てのマリオネットに対して、一生
懸命に答えてくれる。しかし、チェリーにとって、いや、他のマリオネットに対
しても、それが悩みの種となっていた。
(……そうよ!もし、小樽様を慕うのが私だけだったら?)
乙女回路を持つ以上、誰かを愛して当然だ。だが、その相手が「小樽」という
男性であるとは限らない。実際、乙女回路を持ち、小樽ではない男性を慕ってい
たマリオネットも存在していた。
(もしライム達が小樽様以外に恋をしたら、小樽様はきっと私を見て下さるわ!)
だがしかし、今彼女たちは小樽に夢中だ。他の男性に恋をする可能性は皆無だ
ろう。
(……よし!)
チェリーは、ある『秘策』を考えた。
「ねぇライム、ちょっといい?」
「何?」
数日後、小樽が外出し、ライムと二人っきりになった日を見計らって声をかけ
た。『秘策』を実行に移すために。
「ライムは小樽様のこと、好き?」
「うん、ボク、小樽がだーーーいすき!!」
「でも、ブラッドベリーも小樽が好きなのよ?」
「平気だもん!ボクは小樽がだいだいだーーーいすきなんだ」
「でも、もし小樽様がブラッドベリーと結婚するって言ったら?」
「そ、そんなこと……」
そんなことになったら、ライムもチェリーも、自分がどうなってしまうのか分
からない。それは、人間の女が感じる不安に加え、自分が用無しになって破棄さ
れるのではないか、と言うマリオネット特有の感情もあった。
「ライムは小樽様に愛されたい?」
「うん。」
「ブラッドベリーに負けたくない?」
「……そうなのかもしれない。」
「じゃぁ、ライムがブラッドベリーに劣っているところって、どこだか分かる?」
「え?」
「例えば、セクシーさよ。」
「せくしぃ?」
「そうよ、殿方を魅了する言動、それは重要なポイントよ。でも、ライムも私も
ブラッドベリーに比べてセクシーさは少ないのよ。」
「そうなの?」
「そうよ!」
「じゃぁ、どうしたらいいの?チェリー知ってる?」
「勿論よ。つまり、私達もセクシーさに磨きをかければいいの。」
「出来るの?」
「私にお任せ☆」
そういうと、チェリーは一台のコンピュータを取り出した。
「ライム、このケーブルを接続して。」
「何これ?」
「これから、二人で特訓するのよ!セクシーのね!!」
「特訓?」
「そう、今からそのためのプログラムを転送するから、接続して。」
「う、うん☆」
ライムは、何の疑いもなく、そのケーブルを自分に接続した。
(ライム……)
チェリーに罪悪感が芽生える。こんな素直なライムを騙すなんて……
しかし、小樽への一途な思いは、その感情を上回っていた。
(ライム、ごめん!)
カシャッ
心でそう叫ぶと、チェリーは意を決してキーを押し、プログラムを転送した。
「……ねぇ、何か変わったの?」
ライムが不思議そうにチェリーに問いかける。転送が終了しても、何も起こら
ないからだ。
「いいえ、これから変わるの。ある言葉をきっかけにね。」
「ある言葉?」
「そう。」
チェリーは、満を持して、その言葉を発した。
「……666……」
「あっ!?」
ライムは、自分に起きた異変に驚いた。感情がどんどん高まり、体がどんどん
熱くなっていく。
「チェ、チェリー!?」
思わずチェリーの方を見るライム。
「あ……っ……チェ……リ…ィ……?」
どんどん感情が高ぶっていく。自分の意志に関係なく、いつも小樽に抱くよう
な感情がチェリーに起こる。
そう、チェリーがライムに転送したプログラム、それは人間で言うところの
『催淫剤』のようなものだった。
小樽以外の男性に恋することがないのなら、自分以外のマリオネットの心を自
分の虜にしてしまえば。そうチェリーは考えたのだ。
「さ、ライム、『特訓』よ……」
「あ……」
チェリーは、ライムにゆっくりと近づき、そして軽いキスをする。
(……プログラム起動、有効時間3時間……)
キスをしたまま、チェリーは自分の中に既に登録してあったプログラムを起動
する。古い書籍を読みながら作成した、『レズ化プログラム』である。
小樽以外の、ましてやマリオネットと愛をかわすことは、正常なチェリーには
とても出来ない。そこで、時間制限を付けた上で、自分を人間で言うレズにして、
ライムを愛そうというのである。彼女の一途な重いが彼女をそこまでかき立てる
のか。
「ライム……」
チェリーの中に、徐々に愛しさが芽生えてくる。だんだん、ライムがかわいく
なってくる。
チェリーが、ゆっくりとライムに舌を差し込む。フレンチキス……友人のキス
から、ディープキス……恋人のキスへ。
「ん……」
「んう!?……ふ……」
くちゅ……ちゅく……くちゅ……
ライムは、自然に反応してしまう自分に驚きつつも、その心地よい感覚に酔い
しれていく。
長い、長いディープキス。目を閉じキスし合う二人の口の周りは妖しい光を放
ち、室内にはただその舌のうごめく音だけが響く。
しばらくして、チェリーがそっと口を離す。
「チェリー……どうして……」
当然の疑問を投げかけるライム。しかし、その表情は、既に恍惚としていた。
「言ったでしょ……セクシーの特訓だって……」
そう言いながら、ライムの胸にそっと手を添えるチェリー。
「あ……」
「こうやって、お互いに慰め合いながら、女を磨くのよ……」
ゆっくりとその二つの膨らみを揉みながら、チェリーはライムを諭すように話
しかける。
「あは……ぁ……ん……」
徐々にライムの身体に変化が起きる。チェリーの愛撫に『感じて』いるのだ。
無論、通常であれば同じマリオネットに胸を揉まれてもそのような反応が起こ
ることはない。しかし、先程転送されたプログラムが、乙女回路にフックし、本
来起き得ない信号を強制的に発しているのだ。
そんな『快楽』の中、ライムの思考回路も徐々に変化していく。乙女回路に反
応し、チェリーに対する情報、いや、『感情』が変わっていく。しかし、理性と
も言うべき、思考の根底にある情報が、小樽への思いが、自分のそんな行動を抑
制しようとする。
「だめ……くっ……だ……ょ…っ……チェリー……」
必死に快楽と戦うライム。しかし、チェリーも必死だ。
今となっては、その原動力は、小樽への思いではなく、ライムへの一途な思い
だが。
「ライム……そんなに怖がらなくても良いのよ……」
「ぁ…は……で……ん……も……あぁ……」
「いいわ……私が貴方を解放してあげる……」
「ぇ……」
ライムは、直感的にあることを予想した。しかし、彼女にそれを回避する術は
何もなかった。ただ、その『言葉』を発しないよう、チェリーに願うしか。
「あぁぁ……や……チェ……リー……やめて……」
「……072。」
「……ぁっ!?ぁぁぁぁあああああっ!!」
チェリーの放った言葉に反応し、先程転送したプログラムがある行動をライム
に命令する。
「ライム、私にされるのが怖いのなら、まずは自分でリラックスして……」
「いや……あ……んあ……あはぁ……」
ライムの両手は、その意志に関係なく、自らの胸を、そしてあそこを刺激する。
ライムにとって初めてのオナニー。それは小樽のことを思ってのものでも、小
樽に頼まれてでもなく、チェリーによって仕組まれたものだった。
しかし、既にライムにそんなことを考える余裕はない。大量の快楽に、今にも
飲み込まれそうになっていく。
「あぅ……い……いぃ……や…ぁ……止めて……止めてぇ……」
鳴き声とも、歓喜の声とも聞こえる声でそう言いながら、目に涙をためて訴え
るライム。しかし、その表情はその言葉とは裏腹なものであった。
「とっても綺麗よ、ライム。」
「いや……見ないで……見ないでぇ……」
「どうして?
こんな綺麗なライム、初めて見たわ。
もっと聞かせて、貴方のその綺麗な声……」
「……ぁ……はぁぁ……」
チェリーの言葉に興奮し、どんどん感じていくライム。もはや拒絶の言葉を発
することもなく、自らの意志でその行為を楽しんで行きつつあった。
「ぅぁ……はぁ……ん……ぃ……いい……ぁぅ……」
もはや性の虜と化したライムに、チェリーはゆっくりと近づいていく。
「ライム……」
そして、最後の言葉が放たれた。
「好きよ……」
「ぁ……」
ライムの自我は気付くことはなかっただろう。その快楽パルスに隠れて、先程
のプログラムが、自分をチェリーの虜にしようとしていたことに。
「好きよ、ライム……」
「ぁ……」
その言葉に答えるように、ライムは知らず知らずに自ら進んでチェリーに近づ
いていった。
そして、チェリーの唇を奪うライム。
「ん……」
「は……」
お互いの体を愛撫しながら、二人はゆっくりと布団に横たわる。服を脱ぐ間も
惜しみ、そのまま二人は抱き合う。
「ライム……」
そっとライムの首筋にキスをするチェリー。
「あ……」
その愛撫を素直に受け入れるライム。
優しく、時に激しく胸を揉みながら、既にビンビンになっているその乳首を嘗
めるチェリー。
「ほら、もうこんなに固くなってる……」
「あは……い……ぅあ……」
チェリーはライムの体にキスをしながら、徐々に下半身に進んでいく。そして、
遂に、最も敏感なところにたどり着く。
「あはぁ……んんっ!……ぁ……」
チェリーの一つ一つの行動に敏感に反応するライム。それを楽しむかのように
愛撫し続けるチェリー。
「ライム、私のもなめて……」
そう言うチェリーの最も敏感なところからは、妖しげな光と、いやらしい香り
の漂う粘液が流れ出していた。
「あ……」
その愛液を舐め尽くさんばかりに、嘗め、啜るライム。同時に、小さな突起物
を唇でつまむ。
「ん……ふ……」
「あ゛う゛!!あぁん……ラ、ライム……そんな……激し……あぁん!」
想像もしなかったその激しい愛撫に驚きつつも、歓喜の声を上げるチェリー。
二人はシックスナインの体制のまま、お互いの愛を確かめ合うように愛し合う。
「あぁ……いい……」
「ライム……そこぉ……気持ちい……」
胸を、背中を、太股を、お尻を、そしてあそこを……
「はぁん……はぁ……あぁ……」
「ライム……も……だめ……」
チェリーがゆっくりと体の向きを変える。お互い、キスをしながら、胸を、体
を、そして自らの最も感じる部分を押しつけ合う。
くちゅっ……くちゅっ……くちゅっ……くちゅっ……
チェリーが腰を動かす。ライムがそれに合わせる。二人は、お互いの存在を確
かめ合いながら、お互いを愛していく。
「あっ!ひっ!あうっ!!」
「ひぁあ!あぁっ!!」
くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ……
徐々にそのスピードを上げていく二人。この時をもっと感じていたくて、こみ
上げてくるものを必死に押さえる。
「ああっ!もっと、もっと激しくゥ!」
「あんっ!あんっ!!い、いい、もっとぉ!!」
しかし、押さえれば押さえるほど、込み上がってくるその快感が二人を襲う。
「あう、んんっ、うはぁっ!!」
「わ、私、も、もう……」
もはや何も考えず、ただただ快楽の命ずるままに体を動かす。フィニッシュに
向かい、お互いを一生懸命に愛する。
「もう、もうダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっっっっっっっっっ!!!!!」
「イッちゃう、イッちゃう、イッちゃ、イッちゃうぅぅぅぅぅぅっっっ
っ!!!!!」
その惑星には、男しかいなかった。
困ったその星の人間は、女に似せてマリオネットを作り出した。
そして、とある長屋の布団の中に、弐体の、まさに女になったマリオネットが
眠っていた。
しかし、チェリーの願いが叶ったか、それはライムが目覚めない限り分からな
い。
二人は、心地よい脱力感の元、すやすやと眠っていた。
(チェリーの戦略:完)
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あとがき
作:ども、皆さんこんにちわ。
暴走&妄想野郎、悪平 修です。
この度は、このような物を読んでいただき、誠に有り難うございます。
異論反論ある方もいらっしゃるとは思いますが、
たわけ者の愚かな行為、とお許し願えれば幸いです。
L:って、あんた、書き出しが「魔力の副産物」と一緒じゃない。
作:つーか、何でおまいがここにいる!?
世界が違うだろーが、世界が!!!
L:固いこといいっこなし☆
作:あのなぁ……
L:それより、なんか煮え切らないストーリーねぇ。
作:まぁ、元々セイバーはTVで見たのと原作4巻持ってるだけだから
余りよく分からない、と言う説もあるんだよね。
L:それでよく書くわねぇ……
作:でも一時期エヴァを取材していた記者よりは
原作について知っているつもりだぞ!
L:……敵、増やすわよ……
作:うっ……
あ、そうそう、
そもそもライム達が愛液を流すのか、と言うつっこみに関しては
涙を流せるんだから「夫婦の営み」機能もあるはず、と言う
言い訳を付けておきます。
実際書くときは、本当に人間の女性として書いてしまいました。
その方が臨場感、出ますしね。
L:……そーいえば。
スレの方の続編は?
作:…………………………………………………………。
L:…………………………………………………………。
作:翔封界!!!
L:あっ!こら、逃げるんじゃなぁぁぁい!!!
(青空高く逃げる作者。あっさりつかまり……。終)