スレイヤーズあだるてぃい:番外編
「あの姉(ひと)は今っ」
ガタンッ。
あたしの寝室に、物音が響いた。
それは、小さな音だったけれど、真夜中の、しんと静まり返った部屋の中に響くには十分な大きさだった。
……今の音って、窓が開いたみたいだけど。
そういえば、セイルーンに戻ってお城住まいをするようになってからは、窓の鍵を閉めるなんてことはしなくなっていたから、風で窓が開いたのかもしれないわね。
そう思ってあたしは、体を起こして窓の方を見ると、そこには確かに、開いた窓と、風に揺れるカーテンが見えた。
でも、風に揺れているのは、カーテンだけではない……
窓の前には、カーテンとは違った、黒いマントがたなびいている。
もちろんマントだけがたなびいているはずはなく、そのマントに包まれた人影も見える。
……暗殺者っ!?
……でも、それにしてはあまりにも堂々としているようだし。それにそもそも、あたしのことに気づいている様子でもないみたいだし。
でも、相手が暗殺者だろうが、野盗だろうが、あたしのやることはただ一つっ。
「そこの狼藉者っ!
何しに来たのかは知らないけれど、あたしの正義にひれ伏すならばそれでよしっ。
しかしっ、それでもあたしに仇為すというのなら、正義に仇為すものとして、天に代わってこのあたし、アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが、正義の拳を与えてあげるわっ!」
相手が誰だか知らないけれど、あたしはベッドの上に立って、びしっ、と指さしてそう叫んだのだった。
うーん、この瞬間。生きてる、って実感がするわ……
しかし、あたしに指さされたマントの主は、屈服することなく、反抗することなく、その場に立ちつくしていた。
あのー、なんかリアクションとってもらえないと、あとのあたしの行動が続かないんですけど……
あたしがそう口を開こうとした時に、
「アメリア、って……あなた、アメリアなの?」
マントの主が、あたしの名前を口にしたのだった。
……今の声って、どこかで聞いたような?
子供のころには、毎日聞いていたんだけれど、ここ数年は一度も聞いたことのない……
ってまさか今の声って……
「姉さんっ!? その声は、グレイシア姉さんですかっ。」
「そうよっ、わたしよ。白蛇のナー……じゃなかった、グレイシアよっ。」
闇にたたずむ黒影に、じっくりと目をこらしてみれば、そこに立つのは、懐かしい、悪の黒魔道士ルックに身を包んだ、グレイシア姉さんの姿だった。
姉さん……でも、一体どうしてこんな夜にいきなり?
「ところで、アメリア……こんな真夜中に、こんなところで何やってるの?」
……い、いや。それって、あたしが聞きたいんですけど……
「姉さんこそ、どうしたんですか!?
こんな真夜中に、いきなりセイルーン城なんかに帰ってきて、しかも窓からあたしの部屋に入り込むなんて……
あの時に、何も言わずに出ていったのに……今までどうしていたんですかっ?」
久しぶりの、いきなりの再開に、あたしの口からは、いくつもの疑問の言葉が漏れる。
しかしあたしのその言葉に、姉さんの動きがしばし止まった。
何か考え込んでいるようなんだけれど……
「……ふっ。何も言わずに出ていったのなら、何も言わずに帰ってくるのも当たり前じゃない。」
月明かりの中に、黒髪をかき上げながら、姉さんはそう答えたのだった。
「……そ、そうなんですか。
あたしはてっきり、放浪の旅で道に迷った姉さんが、ここがセイルーン城だと知らないで、食料でも盗みに入ったんじゃないかと思って……。」
「うぐぅっ……
って、まさか、このわたしに限って、そんなことがあるわけないじゃないのっ。
ほーっほっほっほ!」
そう言い切って、姉さんは久しぶりに聞く高笑いをあげた。
しかしあたしは、『どーりで門番に見つかっても、そのまま通してくれたと思ったら』という姉さんのつぶやきを聞き逃さなかった。
高笑いの声も、裏返っているし……
「それにしても……
本当に久しぶりね、アメリア。」
そう言って姉さんは、暗闇の中を、あたしの方へと近づいてきた。
「そうですね。本当に……。」
あたしは、立っていたベッドから降りて、久しぶりに会う姉さんを見た。
「あら、あなた……。」
あたしの目の前までやってきた時、姉さんはそうつぶやいた。
「なんです?」
「あんまり成長していないわねえ。」
……って、いきなりなにを。
「そうですか? あたしだって、姉さんがいなくなってから、いろいろとあったんですよ。」
「だって、背もそんなに変わっていないし……。」
そう言って姉さんは、あたしの頭に手を乗せた。
「それは、姉さんの背が高すぎるんですよ。」
ゼルガディスさんなんかよりもはるかに高い、姉さんを見上げながら、あたしはそう言い返した。
「あら、顔の方は少しは成長したみたいね。なんかいろいろありました、って顔をしているわよ。」
姉さんらしいアバウトな言い方だけど、考えてみれば、リナさんたちと一緒に魔族と戦ってきたのだから、その正義の戦いの成果が顔に出ているのかもしれない。
「胸の方は……あれから少しは育ったのかしら?」
姉さんは、視線をあたしの顔から胸へと移した。
「ネグリジェの上からじゃ、よくわからないわね。」
そう言って、姉さんは、あたしの方へと、ひたっ、と近づいた。
なんかいやーな予感が……
「や……やだ、やめてよ。また、あれをやるつもり?」
「そうよっ。わたしが確かめてあげるっわ!」
姉さんの言葉を聞くと同時に、あたしはくるりと振り返って、逃げようとした。
しかし姉さんは、そんなあたしを後ろから捕まえて、あたしの胸へと手を回す。
「ちょっと、姉さん。やめてくださいよ。」
「やーよ。子供のころにはよく触りっこしていたじゃないの。」
ベッドの上へと逃げるあたしを、姉さんは胸をつかんだまま、じりじりと追ってくる。
「で、でも……姉さんのって、触っているんじゃなくて揉んでいるんじゃないですかぁ。」
「そんな細かいこと気にしちゃだめよ。」
そう言う間にも、あたしの胸を触る、じゃなくて、揉む、姉さんの手は動き続けている。
ちょ、ちょっとっ。姉さんの揉む手って、なんかいやらしい……
「ちょっと姉さん、止めてよ。」
「何言ってるのよ。
胸の方は結構成長しているじゃないの。どこかの誰かさんが見たら歯軋りして悔しがるでしょうね。」
どこかの誰かさん、って誰のことかしら?
あたしの頭には、リナさんの顔が浮かんだ。そういえば、リナさん、あたしの胸を、うらやましそうに見ていたっけ。
「ま、大きくなったって言っても、このわたしにはかなわないけれどねっ。」
そう言って姉さんは、あたしの背中へ、姉さんの胸を当ててきた。
あたしの背中から、姉さんの胸の暖かさが伝わってくる。
記憶の中のリナさんと、背中の胸の感触に、あたしはヘンは気持ちになってきた。
なんか、興奮してきちゃった……
あっ。
その時あたしは、股間の辺りに異変を感じた。
股間の辺りが熱くなってきて、その熱が……大きさへと変わっていく……
どうしよう……あそこが大きくなってきちゃった。
フィリアさんのおかげで、自由に制御できるようになったんだけれど、興奮すると無意識のうちに大きくなっちゃうのよね。まるで男の子みたいに……
その間にも、姉さんの、胸への刺激は続いていて、それがさらにあたしのあそこを熱くする。
「お願い、やめてよ。姉さん……。」
「何、色っぽい声で頼んじゃっているのよ。」
あたしの頼みも聞き入れず、姉さんはあたしの胸を、なおも揉み続ける。
もう、あたしのあそこは、すっかり大きくなってしまっている。
今着ているのがネグリジェだからいいけれど、これがいつものズボンだったら、きっと今頃痛がっているに違いない。
……なんとかやめさせないと。
どうやって姉さんの動きをやめさせようかと考えているうちに、一つの考えが浮かんだ。
……ちょっと悪戯(いたずら)してみようかな……
そうすれば、姉さんもやめてくれるわよね。
「姉さん。」
「何?」
「成長して大きくなったのはね。胸だけじゃないのよ。」
そう言ってあたしは姉さんの右手を掴んで、股間へと導いた。
「ほら、ここも……。」
「あら、ほんと。すっかりこっちの方も大きくなっちゃって……
って、ええっ!」
そう叫ぶなり姉さんは、大きく後に飛びのいて、壁にもたれるように座りこんだ。
「ぅわひゃはおえわよぬゆぅぅっ!?」
あたしを指さしながら、姉さんはわけのわからない言葉を口にした。
「姉さん、いきなりどうしちゃったんですか?」
驚き興奮する姉さんに、あたしはさも平然と声をかける。
「な、な、な、な、何よっ! それはっ。」
「これって……
ああ、そうですね。これじゃあ月明かりの影になってよく見えないですからね。」
あたしは姉さんの質問をはぐらかすようにそう言ってから、ネグリジェをはらりと落として、横を向いた。
「これならば、はっきり見えますよね。」
「そ、そうね、はっきりと……って、そうじゃなくってっ。
何だってあなたに、そんなものがあるのよっ。」
「さっきも言ったじゃないですか。成長して大きくなったんだ、って。」
「そんなものは、普通は成長しないわよっ。」
驚きのあまり体を動かせないでいる姉さんに、月明かりに映ったあたしのアレが影を落としている。ちょうど姉さんの顔のところに、その先端がきている。
あ、なんか興奮してきちゃった。
姉さんの顔に落ちる、アレの影が、見せつけるように、ビクン、ビクンとはねる。
まるで、姉さんをもてあそんでいるかのよう……
そんなあたしを見て、姉さんはおびえた表情をしている。
いつもの強気な姉さんとは、まるっきり違った、別の顔……
あたしが知っている姉さんとは、別の姉さんがここにいる……
か、かわいい……
あたしに生えているアレの影響か、そんな姉さんを見て、かわいいと思った。
ちょっと驚かすだけのつもりだったんだけど……
「姉さんが悪いんですよ。あんなこと……してくるから。」
自分に言い聞かせるように、そうつぶやいてから、あたしはゆっくりと姉さんの方へと近づいていった。
「ちょっ、ちょっと、アメリア? あなた、何するつもり?」
「何って? こういう状況でやることって言ったら、一つだけじゃないですか。
姉さんぐらいの年頃だったらわからないはずないでしょ。」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。わたしたち姉妹じゃないの。妹にそんなことされるなんて……。」
「あら、そんなことってどんなことですか?」
「そ、それは……。」
あたしの言葉に、姉さんは、ぽっと頬を赤らめた。
そんな姉さんを、あたしはますます愛(いと)おしく思えた。
「それに、妹って言ったって……
どこにこんなモノを付けた『妹』がいるって言うんですか?」
そう言ってあたしは膝で立ちあがり、床に座り込む姉さんの顔の前に、股間のアレを近づけていった。
「い、いやよ。そんなの……。」
「本当に、姉さんったら。相変わらず強情なんだから……
それじゃあ……。」
あたしは呪文を唱え、姉さんに向かって力ある言葉を発する。
「魅復!」
「えっ!?」
力ある言葉が解き放たれると同時に、姉さんの周りをピンク色の光が包み込み、そして消えた。
そして、その呪文の色が吸い込まれたかのように、姉さんの白い肌が、うっすらとピンク色に染まっていく。
「な……何?」
あたしを見つめる、姉さんの目尻が、トロン、と垂れた。
あたしを見つめる、姉さんの瞳が、ジュン、と潤んできた。
小さく開かれた口からは、唾液が、つー、っと垂れる……
「ちょっと、アメ、リア……今の呪文は……?」
「気にしなくてもいいですよ……
すぐに、そんなこと考えていられなくなりますから。」
「あ、あ……。」
あたしは、ほっそりとした姉さんのあごを手にとって、あたしの唇を、そっと近づけていった。
「んっ……。」
慌てて口を閉じる姉さんに、しかしあたしは、はぐらかすように、その口元から流れる唾液へと、舌をはわせて、すぅっ、とすくい上げた。
「やっ……んっ。」
そしてそのまま舌をはわせていき、閉じる唇へとのばした。
舌の先からは、姉さんの柔らかい唇の感触が伝わってくる。
その唇の柔らかさを味わっているうちに、舌の先からは、唇の柔らかさとは違った、ねっとりとした柔らかさが伝わってきた。
あたしは舌を伸ばし、唇を重ね、強く吸った。
「んふっ……。」
目の前には、焦点の合わないまま、あたしを見つめる姉さんの瞳があった。
その瞳が、少し開いたのは、口の中で、あたしと姉さんの舌が触れあった時だった。
あたしは、姉さんを味わおうと、舌を姉さんのものへと絡みつかせた。
あたしの頭の中には、二匹の紅い蛇が、お互いの体を絡め合わせる様子が浮んだ。
初めのうちは、一匹がもう一匹をからめ取ろうとしていたのが、やがてからめ取られるだけというのに満足できなくなったのか、自分からその身を絡めつかせようと、初めはおずおずと、やがては大胆に動く……
姉さんの舌の動きが、あたしに負けないぐらいに激しくなった時、あたしは唐突に唇を離した。
「あっ……。」
姉さんは、短くため息をもらしてから、いきなり唇を離したあたしを、物足りなさそうに見つめ返す。
その顔に、何か言いたげな、それでいて言えずにいるという表情が浮かんでいた。
「ん……。」
姉さんが何を言いたいのか、あたしにはわかっている。
「うふっ。続けて、欲しいんでしょ。」
あたしの言葉に姉さんは、顔を少しうつむかせてから、軽く、こっくりとうなずいた。
「そういうことは、口に出して、はっきりと言わなきゃ駄目ですよ。いつもの姉さんらしくないじゃないですか。」
そう言ってあたしは、姉さんの口元を見つめた。
「…………
……つ、続けて。」
自分から口にした恥ずかしさに耐えられなくなったのか、その口を、いきなりあたしの唇に押しつけてきた。
「ふふっ、姉さんったら、欲張りなんだから。
でも、その前に準備をしなくちゃね。」
そう言ってあたしは、姉さんの肩に手を回して、ショルダーとマントを外した。
「こんなもの付けてたら、楽しめないものね。」
『楽しめないものね』というところを強調したあたしの言葉に、姉さんは無言で応えた。
トゲトゲのショルダーを外すと、その下からは、白い、すらりとした姉さんの肩のラインが現れた。それはまるで、いつも姉さんの中に潜む、もう一人の姉さんの姿を、あたしの手で露(あら)わにしているかのように思えた。
「姉さん。きれい……。」
姉さんの肩のラインを両手でなでながら、あたしはそうつぶやいた。
あたしの言葉に、姉さんは、どう応えていいかわからないかのように、ぎゅっと唇をかんだ。
姉さんの肩を包む両手からは、柔らかい、姉さんの肌触りが伝わってくる。
姉さん、すべすべしていて、柔らかくって……
「続きは……ベッドの上でね。」
言いながら、姉さんの両腕をつかんで、持ち上げるかのように力を入れた。
体重がなくなったかのように、あたしの腕の動きに合わせて、姉さんの体が持ち上がる。
立ち上がった姉さんは、相変わらず見上げるほどの背の高さなんだけれど、さっきほどには高く感じられないのはどうしてなんだろう……
頼りない足取りで、姉さんがベッドの前に来るのを見て、あたしは姉さんをベッドに押し倒した。
「あっ……。」
あたしも一緒に倒れ込んだので、ちょうど姉さんと抱き合うような形になった。
「ア……アメリ、ア。」
「いいの。あたしに任せて。」
姉さんの言葉をふさぐかのように、再び交わす、熱いキス……
唇を離してから、あたしは上体を起こして、姉さんの体を眺めた。
シーツの上には、そのシーツよりも遙かに白い、そしてほのかに上気した姉さんの肌が横たわっている。
そして、その体を申し訳程度に覆う、二つの黒い布きれ。
あたしはまず、二つの大きな胸を覆う布に手をかけた。
一瞬遅れてから、姉さんはあたしが何をしようとしているのか気づいたらしく、軽く背中を持ち上げた。
「よくできました。」
「ば、馬鹿……。」
からかうようなあたしの言葉に、姉さんは横を向きながら応える。
わずかな布きれが外されると同時に、大きな胸が深呼吸をするかのように、ぷるん、と震えた。
「やっぱり……大きい。」
その大きさに、あたしは思わず声を漏らす。
「言わない、で……。」
「うふっ。恥ずかしがっちゃって……それじゃ、さっそく。」
胸に触れようと、手を伸ばしたのだけれど、触れるわずか手前で、あたしはその動きを止めた。
あたしはおもむろに、その胸の頂にある、淡いピンク色の乳首に、唇を当てたのだった。
「なっ!?」
予想していなかったいきなりの刺激に、姉さんは声をあげた。
……母さん。
あたしは、亡くなった母さんを思い出して、ミルクを吸うように、思いっきりその乳首を吸った。
母さんのおっぱいを吸ったなんて記憶は残っていない。でも、こうやっていると、その記憶が、亡くなった母さんへの記憶が、よみがえってきそうな気がする……
「……母さん。」
甘えるように、そうつぶやいて、あたしは再び、乳首を吸った。
「ああっ、ああんっ……。」
あたしの頭の上から、悩ましげなあえぎ声が聞こえてきた。
…………
……そうね。あたしの目の前にいる人は、母さんじゃないんだ。
……でも……でも、姉さんでもない。
……あたしの目の前にいるのは、乳首を吸われてあえぎ声をあげている「女」なんだわ。
……そしてわたしは……「男」なのよ……
股間にそそり立つモノを見つめながら、あたしは心の中でそうつぶやいた。
あたしは、両手を姉さんの肩にあて、そしてゆっくりと降ろしていった。
「ああっ……んっ。」
ゆっくりと降りるあたしの両手が、胸に届いた時、姉さんは再び艶めかしい声をあげた。
姉さん……感じているんだ……
あたしが、すうっ、と胸の丸みをなぞると、それに合わせて姉さんも声をあげる。
「んんっ……くうぅっ。」
両手を胸に当てると、改めて姉さんの胸の大きさというものがわかった。
「ほんと、大きいですねえ。くやしいぐらいに……
でも、今は……この胸は、あたしのもの……。」
ぎゅっ、と両手で姉さんの胸を鷲掴みにすると、両手からはみ出した胸は、そそるような、いやらしい形を作った。
「ちょ、そ、そんな……。」
あたしの手の動きに、姉さんは一つ一つ反応してくれる。
今、この手であたしが、姉さんに快感をあげているんだ……
この手で、快感が与えられると言うのなら、いつまでも胸を揉んでいたい。
……でも。
……でも、もっと快感を与えられるというのなら……
あたしは、名残惜しそうに両手を胸から離し、しかし肌からは離さずに、ゆっくりと両手を下へと動かしていった。
「あ、ちょっと。」
あたしの手の動きに気づいて、姉さんは、腰をよじった。
でも、それは、恥ずかしさから来る、形ばかりの抵抗だってことは、あたしにはすぐわかる。
だって……あたしはこんなにも、姉さんを愛(いと)おしいと思っているんだから……
あたしの両手が、わずかに腰を覆う黒い布の両脇にたどり着いた。
「ちょっと……恥ずかしい……じゃないの。」
「何言ってるんですか。こんな、付けても付けてなくても変わらないようなもの、取っちゃってもいいじゃないですか。」
「そ、そんな……。」
何か言いたげな姉さんの言葉を聞き流しながら、あたしはゆっくりと、布にかけた指を降ろしていった。
それに合わせて布の真ん中が動くと、姉さんの……ううん、女の臭いが立ちこめた。
そしてその姿を現す、アソコ……
「いやっ。」
布の感じで、どこまで脱がされたのかわかるのか、姉さんは顔に両手を当てて恥ずかしがった。
ほんと、いつもの姉さんからは、想像ができない姿よね……
あたしの両手は、腰を通り過ぎて、太ももへとかかった。
あたしがゆっくり降ろしているからなのか、それとも姉さんの足が長いのか、黒い布きれが、その足を抜けるまでに、やけに長い時間がかかったような気がする。
姉さんってスタイルいいんだな……なんか妬けてきちゃう。
その長さを確認するかのように、あたしは足のつま先から、つぅー、っとその白い足をなで上げていった。
「あ……ああっ……。」
あたしの指の動きに、姉さんは震える声で応えてくれている……
「はぁぁっ……。」
その声は、あたしの指が、アソコに戻ってきた時に、より艶めかしいものへと変わった。
「姉さん……もう、すっかり……濡れてるじゃないですか。」
あたしは、姉さんのアソコを、すうっ、となで上げて、指先で姉さんの愛液をすくい取る。
「ほら、こんな……に。」
「いやっ。」
姉さんは、あたしの指先から目をそらした。
「うふっ。本当に、強情なんだから。でも、あたしが姉さんのアソコを触った時、姉さんの体が、ビクン、って震えたじゃないですか。」
「そ、そんなの……
ああっ!」
あたしが再び、アソコに指を伸ばすと、姉さんの体は、それに応えるかのように震えた。
「ほら、もっと……。」
「ああんっ。やめ……。」
あたしの指使い一つ一つに、姉さんは全身で応えてくれる。
すっかり感じているんだ。姉さん……
「これだったら……もう始めてもいいですよね。」
「始めるって……。」
「やだなあ。わかってるくせして。本当は、早く始めて欲しいんですよね。」
言ってあたしは、姉さんにウィンクをした。
でも、あたしにはわかっている。本当に早く始めたいのは、姉さんではなくあたしだと言うことを。
早く、欲しい。姉さんと、一つに、なりたい……
あたしは、姉さんのアソコに指を這わせたまま、姉さんの両足の間に、体を入れた。
あたしの目の前には、全裸の姉さんが横たわっている……
恥ずかしさからか、目をつぶり、しかしアソコから来る快感に耐えられず、呼吸を荒げている姉さんが、横たわっている……
あたしは、アレの先端を、姉さんのアソコのすぐ近くへともってきてから、
「入るね……。」
あたしのその言葉に、姉さんは言葉を出さず、ごくりと唾を飲む音だけをさせた。
あたしは、それをOKのサインだと思って、一気に腰を押し当てた。
「んっ。」
姉さんの低いうめき声が、あたしの耳に届く。
あたしのアレからは、姉さんの暖かさと、柔らかさが伝わってくる。
これが、姉さんの「中」なんだ……
この感触……いつまでも味わっていたい……
あたしは、その感触を与えてくれている姉さんの顔をみた。
姉さんは、うっすらと目を開けて、こちらに顔を向けている。
「姉さんのアソコって、柔らかくって、暖かくって、気持ちいいわよ……。」
あたしの言葉に、姉さんはもう、顔を背けたり、嫌がったりしなくなっていた。
もう、そんなことは、考えられなくなっているのかもしれない。
「姉さんは、どう?」
「あ……熱い。」
姉さんは、短くそう言った。
「それじゃあ、もっと熱くしてあげる。全身が燃えるぐらいに、熱くしてあげるわね。」
あたしは、意地悪っぽく、そうつぶやき、それと同時に、腰を少し引いてみた。
「あっ。」
呼び止めるかのような、姉さんの声……
それに応えて、あたしは再び腰を深く沈める。
「ああっ……いいっ。」
その声に合わせるかのように、姉さんのアソコがあたしにからみついてきた。
あたしにまとわりつき、強く締め上げて……
「んんっ……。」
あまりの気持ちよさに、ついあたしの口から声が漏れる。
女の快感とは、まるっきり違った快感……
あたしは、さらにその快感を味わおうと、腰を振った。
「ああんっ! あ、あはっ……。」
腰の動きに合わせて、全身を揺さぶられる姉さんは、さらなる声を上げた。
姉さん、感じているんだ。女の喜びを、感じているんだ……
そして、その喜びを与えているのはあたしのアレ……
あたしが、姉さんを感じさせているという思いが、あたしの体をさらに熱くする。
「ああっ、いいっ! もっ……もっと……。」
その快感に必死に耐えるかのように、姉さんは、長い黒髪を振り乱しながら、左右に首を振る。
その、首の下では、姉さんの胸が、激しく揺れている。
その揺れをくい止めるかのように、あたしは両手で力強く押さえつけた。
「ひいぃっ! そ、そこ……。」
姉さんのあえぎ声がさらに激しくなった。
あたしは、右手で乳首を絞り出すようにしてから、ぺろりと舌を伸ばした。
「ああんっ!」
さらなる大声を上げたかと思うと、姉さんは両手をあたしの背中に回して、あたしをぎゅっと抱きしめてきた。
あたしも、それに応えて、両手を姉さんの背中へと回し、思いっきり抱きしめた。
……愛おしい。
愛おしくなってきた。姉さんの黒髪も、姉さんの顔も、姉さんの瞳も、姉さんの胸も、姉さんのアソコも……姉さんの全てが愛おしい。
姉さんを強く抱きしめたまま、あたしは力強く腰を動かす。
あたしの気持ちを伝えるように。
「ああっ。ああんっ……いいっ! アメリアっ。もっと、も……。」
「あ、あたしも……いいっ。熱いっ。」
もう何も考えられない……腰が勝手に動いているかのよう……
「んもっ、もう……耐えられ……ない……。」
姉さんの声に、あたしのアレは、さらに熱くなった。
あたしも、もう……駄目……
「き、来て……アメ、リア。」
あたしの名前を呼ばれた瞬間、アレの熱さが、限界を超えた……
もう、イクっ!
「あああぁぁぁーーーっ!」
あたしの腕の中で、姉さんは大きな悲鳴を上げた。
それと同時に、姉さんは全身をのけぞらせ、あたしを抱く腕にさらなる力が入った。
そして、その悲鳴が響き終わると、あたしの背中に回している姉さんの腕から、ふっ、と力が抜けていった……
あたしは、姉さんの荒い息を聞きながら、力無く背中に被さっている腕から抜け出して、姉さんの横に座った。
「ねえ、アメリア?」
あたしの背中から、姉さんが声をかけてきた。
「なんですか?」
あたしは、愛し合った疲れからか、振り返る気力もなく、姉さんに背中を向けたまま尋ねた。
「もう、おしまいなの?」
「え゛!?」
いやーな予感がして、後ろを振り返ると、そこに座っていたのは……さっきまでの姉さんではなかった。
切れ長の瞳を、いたずらっぽく輝かせる、昔のままの姉さんだった……
「たった一回きりで終わりにするなんてこと……ないわよねぇ。」
そう言って姉さんは、あたしの首に腕を回してくる。
さっきまでの疲れと、姉さんの瞳の輝きに、あたしは思わず、身をすくめる。
「一回だけで済まそうなんて考える悪い妹(こ)には、五回も六回も、お仕置きをしなくちゃねっ。」
そう言って姉さんは、なにやら呪文をつぶやき始めた。
え、それって……
「魅復!」
「……ど、どうして姉さんが?」
全身の力が抜けて、その抜けた力が熱さに変わっていくのを感じながら、あたしは残る力で、そうつぶやいた。
「ふっ。あなたが作る呪文ぐらい、このわたしだったら、一回でも見れば、使いこなせるようになるに決まってるじゃないっ。
さ。それじゃさっそく、お・仕・置・き、をしましょうね☆」
そう言って姉さんは、あたしを押し倒して、あたしの意志とは関係なく、すでに堅くなっているアレの上に、のしかかってきた。
ひょえぇぇぇっ。
「いや……姉さん、ちょっと……んっ、あっ、ああぁんっ。」
ぼおっとしたあたしの視界には、怪しく輝く、姉さんの瞳が、ぐるぐると回り続けたのだった。
いつまでも……いつまでも……
翌朝、あたしがベッドで目を覚ました時には、姉さんの姿はなかった。
……姉さん、どこに行ったんだろう?
昨日は、あたしが気を失うまで、姉さんの「お仕置き」が続いたんだけれど……
ひょっとして、父さんのところにでも行ったのかな?
あたしは、軽くお湯を浴びて身支度をしてから、父さんの部屋へと向かった。
この時間だったら、まだ執務室にはいないだろうということで、父さんの書斎へと行ってみた。
ドアを開けると、すでに仕事を始めているようで、一枚の報告書を読んでいた。
「父さん。おはよーございます。」
あたしは、つとめて平静に、いつものように挨拶をしてみた。
「おお、アメリアか。今日も早起きじゃな。結構結構。早寝早起きは正義の基本だからな。」
言って父さんは、はっはっはっ、と笑った。
「そうですね。父さんも早起きして朝から仕事なんて、さっそく正義を実践しているじゃないですか。」
「いやなに。門番から、昨日の夜に不審な者が通ったという報告があってな。」
「それって、ひょっとして悪?」
「……いや、悪ではないのだが。
何でも、変な格好をした女の人が、門のところを堂々と通って言ったそうでな。あんなに露出した格好で堂々としているとは、痴女に違いないと門番は思って、怖くて声をかけられなかったそうなのだ。
その女は、今朝も堂々と通っていったということなのだが。」
……やけに露出した格好で……堂々としていて……
姉さんだっ!
……姉さん、忍び込んだつもりみたいだったけれど、門番の前を堂々と通っていたなんて……
「ん、どうしたのだ。アメリア。」
「ううん、なんでもないです。」
あたしは慌てて手を振った。
……姉さんのことは、言わないでおこう。
姉さんが、門番に痴女扱いされたということは、言わないでおこう……
あたしはそう、心に決めたのだった。
あ と が き
ども、皆さん初めまして。月下粋沐(げっかすいもく)です。
アメリアと、その姉グレイシアの心温まる再会場面、いかがでしたでしょうか。
……心温まるかどうかは別にして、まずは説明とお礼をば。
読んでおわかりいただける通り、この話、悪平修さんが書いたものの番外編として書いたものです。この設定の使用を許可していただいた、悪平さんにはお礼申し上げます。もっとも、悪平さんの設定のうち、都合のいいものを選んで使っていますので、本来の設定とは違ってしまっていたりする個所もあるのですが、これについては、悪平さんのコメントを参照してください。
文体の方も、悪平さんのまねをしようとしたのですが、アメリアの台詞には疎いので、悪平さんのものには及ばない、まるっきり別の作品になってしまいました。ここのところは、設定だけを使った、別の作品と思っていただければ幸いです。
さて、心温まる再会場面の話に戻りましょうか。ここでアメリアと再会するのは、あくまでも姉のグレイシアであって、白蛇(サーペント)のナーガじゃありません。
ま、これは、原作では、ナーガはグレイシアだとは、はっきりされていないからそうしただけのことで、設定としてはまんまナーガです。
今回のストーリーは、ナーガがアメリアと再会するとしたらどうなるか、ということを考えて作ってみたものです。
18禁でない、普通の再会のイメージとしては……ナーガのことですから、アメリアに会うために戻ってくるなんてことはなく、思わぬところで思わぬように再会して、昔の思い出話をして、旅に出てからのナーガの身の上話をして、アメリアの旅についての番になると、ナーガはとっとと寝てしまい、翌日アメリアが起きた時には、ナーガはすでに旅に出ていた……なんてのを考えています。
ま、あとがきとしてはこんなところでしょうか。
では、いずれ機会がありましたら、どこかでお会いしましょう。
<以下、悪平コメント>
作:というわけで、月下粋沐様作品、「あの姉(ひと)は今っ」です。
L:うーん、ナーガとアメリアを会わすってのはある意味故郷のねーちゃんより禁じ手でわ・・・?
作:そっかなー。俺はおもしろく読んだけど。
L:ところで、設定の話は?
作:おっとそうそう忘れるところだった。
上で月下粋沐さんも書かれていますが、基本的には悪平作の「スレイヤーズあだるてぃい」の設定です。
L:で、都合のいい所って?
作:うむ。
実は悪平版の方ではアメリアは魅復は第一部終了時点では忘れてます。
使えないことはないんだけど、その辺の記憶ばっさり無いんで。
だから使えるようになるのはもそっと後。
L:ほぉお。
作:さらに、アメリアの逸物ですが、
悪平版ではこのようなことはなく、ほぼ確実に自分の意志で制御できます。
唯一の例外として、相手が女の子で、強制的にイかされる瞬間に
"栗ようかん"にある程度以上の刺激を受けると反動でイチモツが現れてしまいます。
L:栗ようかんて一体・・・
作:説明して欲しい?
L:いや、そじゃなくて・・・
・・・いいです、先に進んで下さい・・・
作:じゃぁ・・・
んで、これは精神的な物で、既に何度も射精を体感してしまっているせいなんです。
そしてそれは相手が女性だとアメリアが認識している場合に限ります。実際の性は無関係。
男装してる女性には現れない現象ですし、女装してる男性・・・
L:・・・・・・・・。
作:・・・・・・・・。
L:・・・考えるの止めない?
作:・・・そーする・・・。
ま、そんなところが微妙に悪平設定と違いますよ、と。
L:ところで、新作は?
作:いや実はさぁ。
L:ををっ!?今回は言い訳無し!?
作:・・・・・。
ちょっと某所に投稿する作品を書いたり、全然関係ない方面のを書いたりしてたら
なーんか時間が、ね。
L:ちょっと・・・それって・・・言い訳じゃない?
作:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
L:・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
作:すまん悪かったもそっと待ってて。
L:分かればよろしい。
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