恥獄先生ぬ〜べ〜

              「セクサテラピー」

                              作:悪平 修

「ねぇ美樹、いい加減教えなさいよ、『いいもの』って何?」
 その日、郷子の家に泊まりに来た美樹は、訪問時に「今日は良い物を見つけた」と言っていたが、今の今まで見せてくれていない。
 もう食事も済ませ、じゃれ合いながら風呂も入り、二人ともパジャマ姿だ。
 今日は家族全員いない為、家の中は静まり返っている。
「ふふ〜ん☆これよ。」
 そう言って美樹が取りだした物は、アロマテラピーセットだ。
「あら、美樹ってばアロマテラピー始めたの?」
「実はね、今日の学校の帰りに郷子と別れてから変な露天商見つけてね。そこで売ってたのよ。で、あんたに良いプレゼントになるなぁ、って思ってね。」
「へぇ〜、ありがと。で、どんな香りなの?」
「それがね、普通のアロマテラピーセットとしても使えるんだけど、これは特別なのよ。」
「特別?」
「そ☆
 一緒に特製オイルと錠剤が付いててさぁ、これが何とプロポーション改善に効くんだって。」
「ぷ、プロポーション?」
「これであんたの洗濯板も解消される、って訳よ。」
「悪かったわね!
 ……でも、なんで今まで教えてくれなかったの?」
「実はね、これの服用方法ってのが面倒でさぁ。」
「服用方法?」
「二人以上が服用して、香りをかぎながら、抱き合って寝なくちゃいけないの。」
「な、何よそれぇ!?」
「そう説明書に書いてあんのよ。」
「じゃ、じゃぁ今晩あんたと?」
「ま、そーゆー事になるわね。」
「ううっ……」
 郷子は正直イヤな予感がした。美樹と抱き合いながら眠ることに。
(でも、背に腹は代えられないって言うし……)
「わ、分かったわよぉ。」
「ホント?じゃぁ早速飲みましょ☆」
「あんた、ホントは自分が試したかったんじゃないの?」
「ち、違うわよぉ。」
「…………………………………………」
「さ、さぁ、この薬飲んじゃいましょ☆」
 納得行かない物がありつつも、郷子は美樹と共に錠剤を飲む事になった。
「あら、これ甘いのね。」
「ホントだ。飴玉みたい。」
「どれ、もう一個☆」
「ちょ、ちょっと美樹、そんなに飲んで大丈夫なの?」
「平気平気。たくさん飲んだ方が効き目も強いんだって☆」
「そ、そうなの?」
「ちゃんと売ってたおじちゃんに聞いたんだもん。」
「じゃ、じゃぁ私も……」
「でもホント薬とは思えないほどおいしいわね。」
「確かに、変なお菓子よりおいしいわね。」
「どれ、もう一粒……」
「あっずるい、美樹ばっかりたくさん!」
「いーじゃない、私が買ってきたんだし。」
「あっ、ちょっと、瓶ごと持っていかないでよ!」
「ちゃんと郷子にも渡すって、ちょ、待ちなさいよ!」
「こらまて美樹、瓶を返しなさい!」
「ちょっと待って、私が食べたらちゃんと……」
 ふざけ合いながら瓶の争奪戦を演じる二人だったが、ズボンの裾に躓いた美樹が郷子に倒れ込んでしまった。
『あっ!』
 もつれ合いながら仰向けに倒れ組む二人の上から、瓶の中からこぼれ出た錠剤が降り注ぎ、口を開けていた二人は十数粒を飲み込んでしまった。
「………んふぅ。
 ちょっと、だいぶ飲んじゃったわよ!」
「……んっ。
 あーあ、勿体ないことしちゃったわね。」
「もう、美樹がふざけるから……」
「ごめんごめん。
 それより、そろそろ次のステップよ。」
 アロマセットに特製オイルを垂らす美樹。
「さ、これで準備完了☆
 寝ましょ。」
「うっ……そ、そうね。」
「何よ?」
「な、何でもないの。」
「……そ。
 じゃ、郷子……」
「う、うん……」
 腕を広げて待つ美樹に近づき、そっと抱き合う郷子。
 そのままゆっくりと床につき、向き合うような形で抱き合う二人。
「な、何か恥ずかしいわね。」
「目、閉じちゃいましょ。」
「そ、そうね。

 ……じゃ、おやすみ。」
「おやすみ。」
 そっと目を閉じる郷子と美樹。
(あっ……香りが……)
 特製オイルの香りが漂い始める。その香りを楽しみながら、郷子は目を閉じていた。
(これでプロポーションがよくなるのかなぁ……)
 初めは信じられなかった郷子だが、何故か今は信じられる。そして、その効果に期待を抱き始めて、一人笑みを浮かべていた。
(……あっ、これ……)
 さっきまで気づかなかったが、抱き合っているため、どうしても美樹のふくよかな胸を感じてしまう。
(やっぱり……大きいな……)
 抱き合う前から予想はしていたが、いざ体感するとやはり劣等感を感じずにはいられない。
(でも、このアロマで私もこんな風になれるのかなぁ……)
 想像の中で美樹の体を眺める郷子。その小学生とは思えないプロポーションは、彼女にとってはあこがれでもあった。
(美樹って体は大人っぽいのに、顔は可愛いのよね……)
 愛くるしい美少女の顔と、悩殺ボディを兼ね備えた少女が、今自分と抱き合っている。そう考えると、何だかどきどきしてくる。
 心を落ち着かせようと、深呼吸をしたその時。
(あっ、この香り……)
 不意に美樹自身の香りが鼻を突く。その若い果実の香りは、甘酸っぱく、それでいてかぐわしく、郷子の鼻を弄ぶ。
(……いい匂い……)
 気が付くと郷子は美樹の香りを楽しんでいた。
 その香りは彼女の心を擽り、今まで感じたことのない感情を引き出す。
(や、やだ、私……美樹にときめいてる……)
 自分の感情の変化に気づき、郷子は戸惑う。
 抱き合っているのは同性の友人、そう言う感情を抱いてはいけない人物……
 しかし、いけないことだという考えと、漂う少女の香りが、彼女をより熱くしていった。
(だめよ、これは美樹なのよ……)
 自分を戒めるように心の中で考えながら、彼女はそっと目を開け、目の前の人物を確認する。
(……えっ!?)
 しかし、彼女の目の前にいるのは普段見慣れた友人ではなく、うっすらと目を開け、妖艶な表情を漂わせている美少女だった。
「あっ……」
 目と目が合い、思わず声が出る。
(これが……美樹……?)
 見慣れているはずの彼女。しかし、目の前の表情は今まで見たこともない、美しい物だった。
(……美樹……)
 その表情につられるように、郷子は彼女を抱く腕の力を強めていった。
(……郷子……)
 美樹もまた、先ほどから郷子と同じ現象が起きていた。
 目の前の可憐な少女の悩ましいまでの表情と、そのか細い肉体に、友情ではない何かを感じていた。
「……郷子……キス……したことある?」
「……ううん……ない……」
 とろんとした目の少女の顔は、お互いの吐息を感じるほど近づいていく。
「……してみる?」
 美樹の突然の提案。しかし、それは郷子の望みでもあった。
「……女の子同士なら……ノーカウントだよね……」
 目の前の少女と、何より自分に言い訳するようにそうつぶやく郷子。
 その質問に対する答えは、行為で示された。
「……ん……」
「……んふぅ……」
 彼女にとって初めてのキス。
 そして、そのキスが友人同士のキスではないことが、そのあとの美樹の行動によって証明される。
「……んふぅ……はぁ…ンッ……」
「ンゥッ!?……ふ……はへ……」
 一瞬の隙をついて、美樹の舌が郷子の口内を犯す。
「んっ……んふっ……はふ……んんっ……」
「はぁ……ぁは……んっ……んふぅ……」
 二人の舌が絡み合い、お互いの唾液を飲み合う。その味は、今まで飲んだどんな物よりもおいしく感じる。
 一瞬とも、永遠とも思える時間が過ぎ、二人は唇を離す。
 その透明なルージュがきらめく唇の間に、愛の証の橋が出来る。
「美樹の胸……やっぱり大きいよね……」
「あ、あん、そんな郷子……」
 郷子の突然の胸への愛撫に、美樹は弄ばれていく。
「ほら、指の間からこぼれてくるみたい……」
「んあっ、あはぁ、ぁあん……」
「フフ……美樹ったら、ヘンな声出して……」
「んはぁ……私まで……んんっ……濡れてきちゃうって?」
「……あっ!?」
 突然下半身に刺激を受け、体を硬直させる郷子。その間にも、美樹の指の動きは複雑になっていく。
「や、だめ……美樹……はぁんっ……」
「まぁ、もうぐっしょり……」
「そ、そんなぁ……あはぁ……」
「んふ……カワイイ……」
 小悪魔のような表情を浮かべる美樹。すっかりオンナに目覚めた郷子を弄び、同時に自分も責め立てる。
「ほら……さわって……」
「あっ……美樹のココ……アツイ……」
「あっ☆……そ、そんな、指……アウッ!……入れるなんてぇ……」
「きゃふっ……み、美樹だって……ぁは……すご……っぁあん!」
 お互いを刺激し合い、愛液を流す二人。部屋には二人の息づかいと喘ぎ声が響き渡り、胸元のパジャマは突き出た乳首を刺激する。自分たちから出る雌の匂いが鼻から魂を揺さぶると、二人の舌は絡み合う。
「……郷子……」
「はぁ……ぁぁ……えっ……?」
 我慢できなくなった美樹が体を動かし、彼女の股間に首を通す。
「……郷子……なめて……」
 同時に、郷子の舌先にある自分の股間への愛撫を求める。
「……ん……」
「あっ!……きょ…ンンッ……こ……ぁはぁ……上手……」
「……ン……ンンッ!……ンフゥ……ぁは……」
 パンティーの横から侵入してきた郷子の舌に負けじと、美樹の舌が郷子の小豆を刺激する。
(……これが美樹の味……)
(……郷子……オイシイ……)
 お互いの愛液を味わいながら、二人の動きは激しさを増していく。
 二人の喘ぎ声や息づかいよりもよく聞こえる、ぴちゃぴちゃと言う水音。その音が少女の羞恥心を刺激し、女へと、雌へと変えていく。
「……もう……だめ……」
 こらえ性がない美樹がしびれを切らす。
 そっと体を動かしていると、ある考えが浮かび、再び郷子の股間にキスをする。
「あっ……」
「……郷子……」
 じゅるるるるるるるるっ。
「きゃふぅぅぅっ!」
 突然密壺を吸われ、軽くイッてしまう郷子。
「んふふ……」
 口の中いっぱいに郷子の愛液を含んだ美樹は、郷子と抱き合う。
 お互いの胸を、おなかを、足を、そして若草の丘をこすりつけ合いながら、美樹は郷子にキスをする。
「ンッ……」
「ンンッ!?……ンフゥ……」
 突然自分の愛液を含まされる郷子。愛液と唾液が混ざり合う。愛のカクテルが彼女たちの心を愛撫する。
「ンッ、ンンッ、ンフゥ、ンッ……」
「ふぅ、んふぅ、ぁあっ、ンッ……」
 リズミカルな喘ぎ声と、響き渡るくちゅくちゅと言う音。部屋は少女達の楽園へと変わっていく。
「はぁ、はぁ、んふぅ、はふぅ……」
 じゅっ、ぎゅっ、ちゅっ、ちゃっ……
「あっ、あっ、はっ、きゃっ……」
 じゅっ、じゅっ、じゅ、じゅ……
 徐々にそのテンポは増していき、二人に限界が近づく。
「郷子、郷子、郷子ぉっ!」
「み、美樹、美樹ぃぃっっ!!!」
 お互いの名前を確かめ合い、強く抱き合う。
「ぁぁぁあああああああああっっっっ!!!!!」
 そして、二人の女が生まれた。

「……子……郷子……郷子……」
「……ン……あと5分……」
「……郷子……郷子ってば!」
「……ん……ぁ……美樹……おはよ。」
「おはよう。ね、そろそろ仕度した方がいいんじゃない?」
「えっ?……ぇええっ、もうこんな時間!?」
「まったく、ねぼすけさんねぇ。」
「きゃぁぁっ、遅刻しちゃうぅっ!!!」
 平和な一日が始まろうとしていた。

                        (セクサテラピー:完)




 あ と が き

作:ども、悪平 修です。
  今回は、初のぬ〜べ〜物にチャレンジしてみました。

L:……この作品ってこんな設定なの?

作:イヤ実のところ、ぬ〜べ〜ってたま〜に見ていた程度で
  全然設定とか分かんないんだよね。

L:……調べろよ……事前に……

作:ンなこと言っても単行本揃えるの大変なんだぞ!!

L:でも、郷子ちゃんの家が布団だってのは調べたんでしょ?

作:うっ……
  ほら、たとえベッドでも、布団が乗ってるじゃ……

L:それぐらい調べなさぁぁぁい!!!!!

作:うぎゅっ!!!

L:……ったく、ホントにいい加減なんだから……
  では、この次の作品まで、あぢゅー☆


       (布団に簀巻きにされた作者を踏み台にジャンプして帰るL。幕。)


【2000/10/28 追記】

ども、悪平です。

王生かおる さんに挿し絵CGを頂きましたので、追加しました。
いやぁ、めちゃめちゃ絵に負けてますね、文章(爆)
本当に素晴らしいCGです(^^)/
王生かおる さんに、心からの感謝を。

 
 
 
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